Devil's Night
同級生に重傷を負わせ、担任を自殺へと追いやったのはカイなのだろうか? 私の苦しみを取り除くために……。
「それじゃ、あれは全部、私のせいなの? 知ってる人がケガしたり死んだりしたのは、私のせい?」
カイは答えないまま、ただ曖昧に微笑んでいる。
ウソでしょ? これまで偶然だと思っていたから、密かに安堵することもできたのに……。ぜんぶ私のせいだったなんて信じたくない。
「カイ。答えて」
問いつめると、ようやく彼はこちらを向いた。そのまっすぐな視線が、突き刺さる。
「こんなに愛してるのに」
吐き捨てるように言った表情に、憂いが混ざっている。
「どんなに僕が愛しても、美月は僕を愛してくれない」
「カイ……」
「そんなことはもう、嫌というほどわかってるけど」
彼の言葉は私にとって、どこか不可解なものだった。私はまだ一度も、カイの好意をはっきりと拒絶したことはない。なのに、拒否されることがわかっているような言い方をする。
窓辺を離れたカイが、私との距離を縮めてくる。私は彼の瞳から視線を外せないまま、威圧されるようにジリジリと後ずさりしていた。
「あっ」
足が朽ちた床を踏み抜いた。
「あ―――……っ……!」
バランスを崩した体が落下する。
『バサッ』巨大な羽が風を切るような音がして、落ちていく体が、途中でふわりと浮いた。カイの腕に絡めとられるようにして静止している。