Devil's Night
 
 私を腕に抱いたカイが空中で身を翻すと、その拍子に、静止していた体が一気に1メートル近く落下した。


『ドンッ』


 鈍い衝撃。


 私をかばうようにして一緒に落下したカイの体が、私の体の下にある。


「今の……何……?」


 一瞬、時間が止まったような気がした。


「悪魔に魂を売った副産物かな。満月の日だけ、時間を操れるようになった」


「悪魔って……何の話を……」


「そこまでしておまえを救ってやったのに」


 なじるような目で見据えられ、恐ろしくなった。


「私、帰る……」


 私は体を起こそうとしたが、それを阻むように、カイの腕が私の背中に回った。


「カイ、やめて……。私……」


――好きな人ができた……。


 告白が終わらないうちに、カイが体を反転させ、私を体の下に組み敷いた。
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