Devil's Night
その日の午後、風邪気味の陽人を病院に連れて行った帰りに、絵莉花に似た女の子を見かけた。ハッとして息をのむ。だが、よく見ると絵莉花より背が低かった。
――違う……。
その少女に気をとられ、赤信号を見落とした。
『バッバ―――ッ!』
左折してきたトラックのクラクションが鳴り響く。あわててブレーキを踏んだが、
「ああ……!!」
その反動で前のめりになり、ハンドルで額を強打した。
「う……っ」
ぎゅっとつぶっていた目を開け、おそるおそる顔を上げると、巨大なタイヤの前、数センチの所で車は停まっていた。後部座席の陽人が激しく泣いている。すぐさま車を脇に寄せ、後部のドアを開けた。