Devil's Night
 
 もちろん、『彼と離れたくない』というのが一番の理由だったが、それだけではなかったような気がする。私は逃げ出したかったのかも知れない。ゴーストアパートのあるこの街から。そして、カイという得体の知れない恐怖と、あの忌まわしい予言から。


 最終的に、両親は私の休学をしぶしぶ了承した。夫と一緒に飛行機に乗ったときは、自分自身の背中に羽根が生えたような気分だった。


< 164 / 359 >

この作品をシェア

pagetop