Devil's Night
 
【1994.11.30 東京】


 結局、ゴーストアパートでの出来事を両親に信じてもらえなかった私は、そこで見たものを自分の胸に封印した。親でさえ信じてくれないのだから、きっと誰に言っても信じてくれないに決まってる。そう思いこんでいた私は、クラスメイトにも、親友の香織にさえも少年、カイのことを言わなかった。


 けれど、カイに初めて出会った日の翌日、彼はまた、ゴーストアパートの2階の窓に姿を見せ、そこから私に手まねきをした。あれほどの傷を負っていたのに、涼しい顔をして。


 学校帰りの私は、ランドセルを背負ったまま、おそるおそるゴーストアパートに入った。

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