Devil's Night
 
「違う、違う」


 香織がかぶりを振る。


「櫂斗さんには、半年前の同窓会で9年ぶりに会ったんだもん」


「そうなの?」


「うん。同窓会で昔の話とかしてる内に、何となく意気投合しちゃって……」


「ごちそうさま」


 香織の白い頬が真っ赤になっていた。


 香織は昔から恥ずかしがり屋で、すぐに耳まで赤くなる。こうして話をしていると、時間が学生の頃に戻ったようで、重苦しい気持ちが一瞬紛れ、つかの間の休息を味わっている気分だった。
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