Devil's Night
「それで櫂斗さんが、今度ゆっくりふたりっきりで話したいって、言ってくれて」
言いながら、香織はもじもじと落ち着かない様子で、バッグのストラップをいじっている。
「それで?」
肩で香織をつついた。
「日曜日に会ってぇ、家族の話とか友達の話とかしてぇ……」
突然、香織の話を遮るように、
「特に」
と、上から声が降ってきた。
「特に同じ私学に行けなかったって泣いた女の子の話は興味深かったよ」
カイがニッコリと笑っている。
「どこかで聞いた話だと思ってね」
――ふたりで私の話をしたの?
香織は私がアメリカに住んでいることを、彼にしゃべったのだろうか。この再会が偶然ではないような気がしてきて、恐ろしくなった。