Devil's Night
「お待たせいたしました。これより東京行き561便へのご搭乗を始めさせていただきます。先に、お子様連れのお客様から御案内いたします」
ゲートにグランドホステスの声が響く。
「あ、じゃあ、先に行くね」
私はカイの微笑みから逃げるように立ち上がっていた。
「あとでまたしゃべりに行くね」
そう言って手を振る香織に、「うん」と返事をして陽人をベンチから下ろした。
陽人の手をひいて、足早にボーディングゲートへ向かい、制服の女性に航空券を差し出した。一刻も早く、カイの視界から消え去りたかった。