Devil's Night
カイと香織の席は、ビジネスより前にあるファーストクラスなのだろう。離陸までふたりの姿を見ることはなかった。
何となくホッとしながら、少しだけ機内食を口に運んだが、味覚が鈍っているみたいに味気ない。絵莉花がいなくなってから、すっかり食が細くなってしまっている。
チャイルドミールをたいらげた後、すぐに眠った陽人の体にブランケットをかけた。無邪気な寝顔。絵莉花もよく似た、キレイな寝顔をしていた。
――絵莉花……。どうして……。
また、涙がこぼれそうになって、指先で目尻をぬぐった。