Devil's Night
絵莉花を連れ去られたときのことが、生々しくよみがえる。
「ハル!」
すぐさまシートベルトを外し、立ち上がって陽人の姿を探した。
「お客様、どうされました?」
大声で子どもの名前を呼ぶ私に気付いて、客室乗務員が飛んで来る。
「子どもが……子どもがいないんです……」
「落ち着いて下さい。機内は安全です。お子さんは、すぐに見つかりますから」
確かに飛んでいる旅客機から子どもを連れ去ることはできないだろうが、わかっていても、あせる気持ちを止められなかった。