Devil's Night
 
 私も着替えて階段を下りると、家の外から陽人のはしゃぐ声が聞こえてきた。縁側から見ると、母とふたり、庭にしゃがんで何かを見ているようだ。


「きれいねぇ」


「どこからきたの?」 


「かわいいね」


 ふたりが話しかけているものを見て、背筋が凍った。


――猫……。


陽人がグレーの猫を撫でている。


「ハルッ! だめッ!」


 私の声に陽人がビクリと身を縮め、猫は私を警戒するように身を翻した。
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