Devil's Night
陽人を助ける手段が見つからないまま、その夜から入院となった。
駆けつけた両親と一緒に、薬で落ち着いて眠った陽人を見守る。母は嗚咽を隠すようにさっきから壁の方を向いたままで、父はベッドの脇のイスに座ってうつむいている。
――ハルはここを生きて出られないんだろうか……。あんなに元気だったのに……。
全く現実味がわかない。にわかには信じられないせいか、それとも目の前の陽人の寝顔が穏やかすぎるせいか、涙も出てこない。
――こんなに不幸が続くことって、あるんだろうか。
機内で見た夢の中で、カイが口にした『理不尽な苦しみ』という言葉を思い出して挫けそうになる気持ちを、私は頭を振って追い払った。
「私……、省吾さんに電話をしてきます……」