Devil's Night
15. ドナー
「紹介状です。これを持って、そこに書いてある場所へ行きなさい」
院長はそう言ったが、封筒の表にも裏にも、何も書かれていない。
「紹介状? 何の……ですか?」
院長は私の反応に苛立つように、
「わかりませんか?」
と逆に聞き返してきた。
助からないと断言されたショックで、思考がうまく回っていないのか、本当に院長の言わんとすることが理解できない。この八方ふさがりの状況で、私に誰を紹介しようと言うのだろう。
「運がよければ、お子さんに合う心臓を買うことができるかも知れないってことです」
その衝撃的な言葉に、一瞬にして視線を上げる。
「心臓を……買う……?」
――つまり、『命』を買うことに他ならない。