Devil's Night
それからしばらくして、ゴーストアパートで不思議な光景を目にした。
その日は、都内には珍しい雪が降っていた。
どんな天候の日でも、カイは大抵あの廃墟にいる。きっと寒い思いしているだろうと思い、温かいココアを作ってポットに入れた。 そして、ゴーストアパートへ向かい、カイを驚かせようと、こっそり中へ入った。
けれど、すぐに足が止まった。ところどころ床の抜けている2階から、カイの声がする。私はそれまで、カイが自分以外の誰かとしゃべるのを見たことがなかった。
誰だろう、と場所を変え、伸び上がるようにして見ても、下からはカイの背中が少し見えるだけ。
好奇心をかきたてられ、その声に耳をすましながら、ゆっくりと階段を上がった。