Devil's Night
サイレンのけたたましい音が間近に迫っている。
「後でうかがいます」
そう言って看護師は私のそばを離れ、救急車から降りてきた隊員から、搬送されてきた患者の氏名や容態を聞いている。
ストレッチャーで車両から下ろされたのは、陽人と変わらない年頃の、小さな女の子だった。そのぐったりしている少女に付き添っている母親らしき女性は、顔色を失い、ただオロオロしていた。
「自宅で急に倒れて、そのまま意識がないそうです」
救命士が看護師に申し送りを始める。