Devil's Night
私の人生がカイにつながっていくような気がして恐ろしかった。
「どうしたの? こんな時間に。どこか具合でも悪いの?」
私のことを心配してくれる香織の顔は、昔と変わらない。カイが私の手を握ったことなど、気にしていないように見える。あんなに悲しそうな顔をしていたのに、まるで記憶をリセットされたみたいに、微塵のわだかまりも感じられなかった。
「た、大したことないの。ここまで来る間によくなったから、もう帰ろうかと思って」
「そうなの?」
「ええ。香織こそ、こんな時間にどうしたの?」
そう尋ねると、彼女は白い頬をピンク色に染めた。
「私、櫂斗さんの夜食、差し入れにきたの。急に持ってきてくれ、なんて言うのよ。ワガママでしょ?」
口ではそう言いながら、嬉しそうにニコニコ笑っている。
「よかったら、美月も一緒にお茶していかない? スコーンを焼いてきたから」
その言葉に戸惑った。
「ううん、もう遅いから、やめとくわ」