Devil's Night
 
 すぐには動けない私を見て、カイが薄く笑った。


「教えてあげるよ。どうすれば、きみの大事なハルを助けられるのか。とりあえず説明だけでも聞いて帰るといい。その手段を用いるかどうかは、美月自身が決めることだ」


 挑むような目が私を見ている。カイの話を聞いてはいけないのは、わかっていた。が、このまま帰ったって、陽人の死を待つしかないのだ。


「取引をするかしないかを決めるのは僕じゃない。美月が決めることだ」


 カイは私の中の迷いを見透かすように、あくまでも選択権が私にあることを繰り返す。

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