Devil's Night
 
 が、その夜……。


 深夜に陽人が苦しみ始めた。付き添い用の簡易ベッドでウトウトしていた私は、陽人の喘ぐような呼吸を感じて目を覚ました。


「ハル?」


「ママ……いた……いよ……ママ……」


その途切れ途切れの声で、完全に目が覚め、ナースコールを押しながら、ベッドの上の陽人を抱きしめた。


「ママ……。おむねがくるしくてこわい……」


全身が冷たくなるような危機感を覚えながら、
「ハル。大丈夫だよ。何も怖くない」
と、必死で陽人を励ます。


――そう、大丈夫。絶対、ひとりでいかせたりしないから。


「ママはずっとハルと一緒にいるよ」


自然と自分の中の覚悟が口からあふれ出した。

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