Devil's Night
仮眠中だったのか、白衣を羽織りながら駆けつけた担当医は、陽人の様子を見て、すぐに集中治療室へ運ぶよう指示した。私もストレッチャ―を追いかけたが、
「こちらでお待ちください」
と、治療室の前で止められた。
「他の御家族の方も呼んでおいていただいた方がいいかも知れません」
医師が早口で私に宣告した。
「そんな……。だって、今朝、アメリカで移植を受ける話をしたばかりじゃないですか!」
思いもよらない急変に、行き場のない悲しみを担当医にぶつけることしか出来ない。
「全力を尽くします」
苦しそうな表情でそれだけ言って、医師は治療室に消えた。