Devil's Night
『ママ。いたいのとって』
苦しむ陽人の姿と声がよみがえる。本当は陽人に自分の命を与えたかった。陽人が寂しいというのなら、一緒に死んでやってもいい。けれど、それだけの覚悟がありながら、カイにキスする決心がつかなかった。
いや、迷っている時間はない。ためらいながらも、彼との距離を縮める私を、カイが見つめてくる。私の本心を探るように。
悪魔の決心をしようとしている私に、もう失うものは何もないはずだ。正義も、自尊心も、倫理観も、貞操観念も……。
私は全ての感情を捨てた。