Devil's Night
 
――逃げなきゃ。


 私はたくさんの家や人を燃やしたけど、魔女じゃない。でも、捕まれば拷問される。焼いた釘を刺されて、魔女だと白状させられるだろう。その後で魔女裁判にかけられ、多分、最後は火あぶり。


――そんなの絶対に嫌。


 リアの気持ちが頭の中に直に響いてくる感覚は、本当に不気味なのに、なぜか拒絶できない。


 少女は眉を歪めながらも立ち上がり、フラフラと歩き始めた。何度となく倒れそうになり、木の幹や枝につかまりながら、それでも歩き続ける。


 やがて、レンガ造りの古びた家が見えてきた。
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