Devil's Night
――カイ。置いて行かないで……。
引き止める声さえ出ない。しばらくすると、外で犬が吠えているのが聞こえてきた。人の足音もする。追っ手だ。血の匂いをたどって来たのだろう。けれど、もう体を起こす力もない。
死にかけていても、ひどい目に遭わされるのだろうか。
「カイ……。助けて……」
ふるえながらカイを呼んだ。
『ダンッ』
扉を蹴破って入ってきたのは、私たちが火をつけて燃やした町の人間たちだった。