Devil's Night
 
 彼は群衆に向かって言った。


「死にかけている娘に制裁を加えても仕方がない。懺悔の機会を与えましょう」


 だが、集団は収まらなかった。


「惑わされるな!」


 そう怒鳴ったのは村外れに住む木こりだった。その顔は復讐に取り憑かれているみたいに険しい。


――ああ、覚えてる。


 彼の母親は足が悪く、私たちが放った火によって、命を落としたのだ。


「魔女め。息のあるうちに八つ裂きにしてやる」


 木こりが斤を振り上げた。
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