Devil's Night
「カイ兄さま……。もういいよ」
先に神父様が微笑みながら息絶えたせいだろうか。何となく死ぬことが怖くなくなっている。いや、むしろ、恐ろしい悪魔に会うぐらいなら、あの気高い魂と一緒に旅立ちたいとさえ思い始めている。
「心配しなくてもいい。契約者は僕だ。リアは永遠の命を得るだけだよ。契約者である僕が死なない限りね」
優しく言い含めるようにカイは私を抱き上げ、サークルの中央に置いた。
「リア。お前はこれから僕と、永遠のときを生きるんだ」
体を床に置かれたとき、ベッドの下でじっとしている猫が目に入った。
「ブルー……。おいで」
かすれる声でそう呼ぶと、猫は駆けよってきて、私の頬を舐めた。私が流した懺悔の涙を拭うように。