Devil's Night
 
 『ガチャ』と、カイが箱の錠前を開け、中から黄ばんだ紙と小さなナイフを取り出した。そして、彼はためらう様子もなく、その錆びた刃の先端で自分の指先を切り、したたる血液を銀の皿に溜めながら、カラスの羽で、ボロボロの紙の上に何かを書きこんでいく。


「よし……」


 やがて、満足そうな笑みを浮かべた彼は、古紙をクルリと丸めてから私の額にキスをした。


「リア。僕も後から行く」


 そう言い残し、カイは再び家を出て行った。
< 281 / 359 >

この作品をシェア

pagetop