Devil's Night
 
 私は夫の決断に従えないかも知れない。そう思うと、夫に相談するのも恐ろしくなった。


――私はどうすれば……。


 どんなに考えても、答えが出ない。


 突然、くぐもったオルゴールのような音が流れ始めた。膝に置いたバッグの中から聞こえるケータイの着信音。バッグに手を入れ、その音源を指先で探った。

 
――省吾さん……。


 ディスプレイの着信表示を見て、ギクリと心臓がきしんだ。現世の彼の姿と、黒いスータン(法衣)をまとった神父様の姿が、ダブって脳裏に浮かぶ。
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