Devil's Night
私は救いを求めるような気持ちで通話ボタンを押した。
「省吾さん、私……」
「美月。しばらく連絡がとれなくなる」
私が話すのとほぼ同時に、夫が言葉を発した。彼がとてもあせっているのを感じる。
「何か……あったの?」
嫌な予感がする。
「これから空港へ移動してロサンゼルスに飛ぶ」
「ロスへ? どうして?」
何かをためらうような沈黙。
「確認してから電話する。とりあえず、半日ほど連絡がとれない。心配するといけないから、それだけ伝えておこうと思ったんだ」
いつもと違う夫の口調に、私の中の不安がどんどん膨張していった。