Devil's Night
「わかったろ? 自分があの男に似つかわしい聖女じゃないってことが」
何と言われても仕方がない。唇を噛み、うなだれる私の前に、カイがしゃがみ込む気配がする。そっと顔を持ち上げられ、唇を重ねられた。犯すような執拗さで口の中を舐めまわされても、抵抗する気力がない。
長く深いキスに満足したのか、ふふっと笑い、私の額にキスを落としたカイが、デスクの方へ戻る。
「助けてくれるの?」
「もちろん」
カイの指がパソコンのキーボードを軽快に叩き、マウスをクリックする。
「すぐにドナーがこちらへ着く。今回の適合率は格段に高い。必ず成功するよ」
――もう、ドナーとなる子どもを日本に呼び寄せてたの?
手回しの速さに驚愕する。
カイは書類のようなものをクリアファイルに挟んで、立ち上がった。そして、デスクの引き出しからIDカードを取り出し、首にかける。
――もう手術室に行くんだろうか?
「私はどうすれば……」
「ここで待てばいい。24時間後には、元気になったハルに会える」