Devil's Night
 
 カイがパソコンを閉じ、デスクを離れた。


「美月はここで僕を待ってればいい。あの頃みたいに」


 森の中の廃屋で、ふるえながらカイを待っているリアの姿が彷彿とする。幼い妹のために、命懸けで服や食料を盗んでくる兄をじっと待つ少女の姿が。


「あの頃みたいに僕だけを信じられる?」


――カイだけを信じる……。


 そのことにはまだ迷いがあった。
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