Devil's Night
 
「まだ、僕よりも、あの無力な男を信じているの?」


 カイが私の瞳をのぞきこんでくる。


――夫とカイのどちらを信じるか……。


 答えられない私に失望したような顔で、カイが私の前に手を差し出した。


「ケータイ、出して」


「え? どうして?」


「ハルを助ける条件。僕が戻るまでここで静かに待つこと。そしてその間、誰とも話をしないこと」


突き出されたカイの手が、彼への隷従を要求する。
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