Devil's Night
 
「ニャアーー」


 カイの腕から飛び降りた猫がこちらを見た。口に小さな羽毛がついている。それを見て鳥肌が立った。


「まさか……。まさか……ミカンを食べたの?」


 私は全身の力が抜けて、その場に座り込んだ。


「美月、どうしたの?」


 カイが私に歩みよりながら、静かに聞いた。


「ブルーが……。ブルーが私のカナリアを……」


 ふるえる私を見て、カイが眉をひそめた。


「ブルーが捕まえてきた小鳥、美月のだったの?」


 我慢できなくなって、私は声を上げて泣いた。



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