Devil's Night
 
「ハルに会いたい? まだ眠ってるけど」


「会えるの?」


「会えるよ。ガラス越しだけどね」


 手術は本当に成功したんだ、という安堵で目がうるむ。


「おいで」


 差し出された手を迷いながら握り、ヨロヨロと立ち上がる。私はカイの背中に従い、エレベーターホールに向かったが、エレベーターの中では、お互い、何もしゃべらなかった。

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