Devil's Night
 
――あった……。


 廊下を突き当たったところに薄暗い階段があり、上へと続くその入り口には、『関係者以外立ち入り禁止』のプレートが立っている。立て看板の脇から入り、階段を上った。そして、そっとノブを回し、スチールの扉を静かに押した。


 屋上に出てすぐに、すらりとした白衣のうしろ姿を見つけた。カイがひとりの男と向き合っている。


――あれが運び屋だろうか……?


 目元を完全に隠すサングラス。黒っぽい光沢のあるスーツの下に紫色のシャツ、白いエナメルの靴。年齢は私とさほど変わらないように見えるが、一般人とはほど遠い、どこか近寄りがたい風体の男だ。
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