Devil's Night
彼は呆然とした顔で私を見た。
「美……月……?」
桜木優太の目は私を昔の級友だと認識した後、ウロウロと宙をさまよった。
「優太くん?」
そう聞いたとき、黙っている彼が胸に抱いている紙袋から、何かがはみ出していることに気付いた。ピンク色のストラップのようなもの。その色と形に見覚えがある。
「それ……!」
私の視線から紙袋を隠すように、彼は背中を向けた。
「お願い……。それ……見せて……」
私は恐ろしい予感にふるえながら、優太の抱いている紙袋に手を伸ばした。