Devil's Night
 
 ここまでの道のりで拾ったオレンジ色の羽を握りしめたまま、来た道を引き返す。
 涙が後から後から湧き上がってきた。


『バサッ』


 すぐうしろで羽ばたく音がして、振り返ると、街灯の上に黄色い小鳥が羽根を休めている。


「レモン」


 名前をつぶやくと、黄色いカナリアはこちらに飛んできて、私の肩に止まる。


「帰って来てくれたの?」


 手に乗せて尋ねると、レモンのツヤツヤした黒い瞳が見上げてきた。
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