Devil's Night
『美月?』
凍った心を溶かすような、温かい声が鼓膜に届く。
「は……い……」
体と一緒に声がふるえる。
『よかった。やっとつながった。美月、聞いて。やっぱり遺体は絵莉花じゃなかったよ』
「知ってる……」
『え?』
――絵莉花は私が殺したから。
「省吾さん……。ごめんなさい……」
『美月? 何かあったの?』
「私……もう省吾さんに会えない……」
『美月? 何、バカなこと……』
明らかに動揺している夫の声が遠くなる。