Devil's Night
 
 カイが私の耳からケータイを離し、パチン、と閉じた。


「やっとわかった? あの男が美月にふさわしくないってこと」


――いや。逆だ……。私があの人にふさわしくない女なんだ。


「私にそれを思い知らせるためにやったの……」


 カイはそれには答えず、小さく笑って立ち上がる。


「今回はなかなかいいシナリオだったろ?」


――シナリオ……。


 そういえば、カイは以前、私を殺したと言った。私の目の前で彼の方を殺したこともあると。絵莉花の誘拐も陽人の病気も、全て私の心を汚し、手に入れるためのシナリオなんだろうか。私は一体、何度こんな苦しい人生を繰り返しているんだろう……。
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