Devil's Night
 
 家に戻ってレモンを鳥カゴの中に入れた。一心にエサをついばむレモンを見ているうちに、気持ちが落ち着いてきた。


「ブルーもおなかが空いてて、我慢できなかったのかな」


 ようやくそう考えることができるようになった。
 かわいがっていたミカンを食べた猫を許すことはできない。けれど、野生の本能なのだと自分に言い聞かせれば、理解することはできる。


――あんな風にカイを責めてしまった自分が恥ずかしい。いつも優しくしてくれるカイにあんな態度をとるなんて。


 カイに謝らなきゃ。


 そう思い、私は再びゴーストアパートへ向かった。
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