Devil's Night
 
 それは、このときを選んで与えられているように、強引に頭の中を駆けめぐる光景だった。


 その記憶の大部分が、今日まで私が歩んできた人生と重なっている。が、微妙に違っている部分があった。


 不思議な記憶――。それはカイと出会った小学生のときから始まった。同じように、あの廃屋で出会ったけれど、そのときの彼はケガをしてはいなかった。初めてカイに会った日は、血だらけだったはずなのに……。


 やがて私たちは一緒に遊ぶようになった。カイはいつも私に優しかったから、私は大人になったらカイのお嫁さんになるかも知れないと、淡い想いを抱きながら成長する。
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