Devil's Night
再び廃屋に着いたときには、薄い闇があたりを包み始めていた。
カイは建物の2階にある小さな窓から、いつものように外を見ている。
でも、いつものぼんやり遠くを眺めるような表情ではなく、ひどく思いつめた顔。下から声をかけるのもためらわれるほどの悲しそうな目。
――私のせい? 私がカイの猫をなじったから?
「カ……」
私が呼びかけようとしたとき、彼は無造作に何かを放り投げた。それは、白い布袋みたいに見える。
カイの手を離れた物体は弧を描いて敷地のはるか向こうまで飛び、最後は転がってアスファルトの上に落ちた。