Devil's Night
道に投げられたのは、やはり布の袋だった。それは路面で生き物のようにモゾモゾと動いている。
――何!?
しばらく目を凝らしていると、袋の中に何か生き物が入れられているのだと、わかった。
「ミャア。ミャア」
微かに悲しげな鳴き声が聞こえる。
――ブルー!?
そう思って、道路に駆けよろうとした瞬間、走ってきたタクシーの下にそれはスウッと吸いこまれるように消えた。
黒いセダンの後輪が、白い袋をグシャと轢いた。布についた黒いタイヤの痕が、みるみる赤く染まっていく。