Devil's Night
絵莉花に、「ちゃんと座ってしゃべりなさい」と注意してから、受話器を受け取る。
「今日は美月の誕生日だから、モールで買い物して、外で食事しないか」
その言葉から、夫の気遣いが伝わってくる。毎日、自宅と幼稚園の往復しかしない私を、こうして夫は時々街へと連れ出してくれた。
「じゃあ、すぐ出かけられるように、支度しときます」
「うん。それじゃ、後で」
事務的だけれど、優しい語尾を聞き、私はもう、何を着て行こうか、なんてウキウキしている。