Devil's Night
――遅いな。
戻ってこない絵莉花に、少し不安になりながらもそこに立って、しばらく待った。
が、10分ほどたっても、出てこない。
――おかしい……。
不審に思いながらトイレに入ってみる。
10個ほどの個室が並んでいるが、その全ての扉が開いていた。
「絵莉花?」
私は個室のひとつひとつを見て回った。
「……!」
いちばん奥の個室をのぞいたとき、息が止まりそうになった。
娘の着ていたワンピースが落ちている。そして、その横に転がっているのは、髪の毛を金色に染めるためのスプレー。
――まさか、さっきの……。
わけのわからない恐怖にさいなまれながら、タイルの床に落ちた赤いリボンを見ていた。