Devil's Night
 
「もしかしたら、私の知ってるカイとは違う人かも……」


 自信がなくなって、口の中でモゾモゾ言いながらチラリと香織を見たが、彼女は私の方など見てもいなかった。本棚に身を隠すようにして、じっとカイを見ている。


「話しかけないの?」


 不思議に思ってそう尋ねると、香織は真っ赤になって首を振った。


「北浦くんに自分から話しかけるなんて、おそれ多くてできないよ」
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