Devil's Night
――あれは、何?
最初、それが何なのか、わからなかった。
2階の梁から、大きなてるてる坊主のようなものがふたつ、ぶら下がっているが、白い布で覆われた『それら』は、てるてる坊主にしては頭が小さい。
――まさか……。
嫌な予感に背筋をゾクゾクさせながら、徐々に視線を下にやると、ヒラヒラしている布の下からダラリと足が伸びていた。
「………!」
古びたシーツをかぶされた人間が吊るされているのだとわかり、私は思わず目を覆った。
「何で……」
「アイツらが、血とか吐いて美月が汚れたら嫌だから、布を落としてからロープを首にかけて引っ張り上げたんだ」
カイは涼しく笑っている。
「そうじゃなくて! どうして……。どうして、こんな……」
尋ね終わる前にカイが答えた。
「美月にケガさせたヤツらを僕が許すわけないだろ?」
私は男たちに襲われたとき以上の恐怖を感じながら、彼の氷のような微笑を見つめていた。