Devil's Night
毛布の上から見る限り、私とあまり変わらない背格好だ。やはり子供だとわかってホッとしたが、中に入る勇気はなく、私は壁の外に立ったまま、男の子に声をかけた。
「ねぇ、どうしたの?」
たずねると、男の子が頭を持ち上げるようにして、こちらを見た。その、絵本に出てくる北欧の少女みたいな顔立ちにハッとする。。うめき声を聞いていなければ、女の子だと思ったかも知れない。うるんだ瞳と、苦しげな表情が、ぞくりとするほどキレイだ。
――チリン……。
突然、少年のくるまっている毛布の中から、しなやかな灰色の猫が飛び出してきた。
「ニャア」
つややな毛並みと宝石みたいな蒼い瞳を持っているその猫は、私を警戒し、威嚇するように見据えてくる。