Devil's Night
そのとき、ショッピングセンターに流れていた音楽が途切れた。
『We have a public announcement,a little girl is missing in the shopping centre……』
館内放送が、異常を感じさせるほどの大音量で流れ出す。
5歳の少女の行方がわからなくなったこと、その子どもはアジア系で長い髪、身長は約1m弱であることなどの特徴を告げている。時々、耳にする迷子の連絡とは明らかに違う、切迫したトーン。
『Could anybody who has seen this child please contact the information……』
続けて、買い物客に向けて捜索に協力するよう、呼びかける放送も流れる。
事の重大さがさらに巨大化して、自分の上にのしかかってくるようだった。
ふらふらしながらトイレから出ると、出入り口のシャッターが全て下ろされていた。
店内を歩き回る大勢の警備員たち。彼らは、テナントを見回り、ゴミ箱の中までのぞきこんでいる。メインゲートではモールを出る客のチェックが行われていた。
夫が警備員に連絡したことで、すぐに緊急措置がとられたのだろう。が、私があの女とすれ違ってから、20分以上がたっている。
――もう、ここにはいないかも知れない。
……もっと早く夫に助けを求めるべきだった。自力で探し回る前に。