Devil's Night
 
 何度となく、ゴーストアパートの梁から吊るされている死体の夢を見た。
 ロープが切れ、布にくるまれている体がもがきながら、自分の上に落ちてくる夢。
 その夢をみる度に、飛び起きた。寝汗をびっしょりかいて。


 そして、目が覚めたときはいつも、心臓が痛いほどドキドキしている。


 まだふたつの死体が、あそこにあるような気がしてならなかった。


 不安のせいで食欲もなくなり、母に、
「青い顔して。ちゃんと食べなきゃ病気になるわよ」
と諭された。




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