Devil's Night
 
 お母さんの言う通りだ。

――本当にこのままでは病んでしまう。


 そう思った私は、事件から半年ほどたってから、一度だけゴーストアパートの中を見に行った。悪夢と決別するために。


――そこにまだ死体があれば、警察へ行く。


 そう心に決めて。


 そして、祝日の昼間を“その日”に選んだ。祝日だけは、あの廃屋でカイを見かけたことがなかったから。


 彼に会わないことを祈りながら、ゴーストアパートへと向かう。
< 94 / 359 >

この作品をシェア

pagetop