7日間の恋
『残念ながら僕はいないよ。
30も越えたっていうのにね…』
稲葉さんは苦笑い。
彼女、いないんだ。
だったら私にもまだ、チャンス…あるのかな?
『まあ仕方ないよな。
お前にはずーっと想ってる人いるもんな』
と、そこへ現れたのは津川さん。
稲葉さんはキッと津川さんを睨む。
『そんな怖い顔で見んなよ~
冗談だろ、冗談』
津川さんはクククッと笑っている。
あの…私、まったく話についていけてないんですが?
そんなこともおかまいなしに、2人は見つめ合った(睨み合った?)まま。
『結衣先生!
もう僕、病室帰ります!
コイツと一緒にいるのイヤなんで!』
稲葉さんはそう言って立ち上がり、リハビリ室を出て行った。
『あちゃあ~…
稲葉、怒っちゃった。
ま、ほっとこう。
んじゃ、まだ患者さんいるからね。
もうちょい頑張ろうか。』
私は稲葉さんの背中に視線を送りながらキモチを切り替えた。